「桜ほうさら」第二話、第三話は一休み。。。
宮部みゆきさんの桜ほうさら。読み応えのある一冊です。
父の冤罪を晴らすため、生まれの地より江戸に出てきて、貸本屋の下請けで身をやつしながら、江戸留守居役のもとで調査をすすめる(?)笙之介。
第一話は、彼と彼をとりまく人たちの自己紹介がてらなお話。
そして、第二話、第三話は、その話はちょっとおいといて。。。笙之介、人生経験を積む。。。の巻。。。と言ったところでしょうか?
第二話「三八野愛郷録」
奥州三八野藩から「古橋笙之介」をさがしてやってきた長堀金五郎。といっても彼が探しているのは富勘長屋に住んでいる、われらが笙之介ではなく、昔、三八野藩の若殿と暗号文でやり取りをしていた古橋笙之介。使える殿が隠居してるけど、おかしなその暗号を日々書き連ねるのを明らかにしたい。。。ということで、人の好いわれらが笙之介が一緒に奔走するというお話。。。
飯屋の壁やら障子やらに、字を書き散らす。。。その記憶だけは残っていました。そうそう、桜の精と見間違えた和香さんと一緒に。。。
ただ、私がこのお話で好きなのは、「桜ほうさら」って本の本編からちょっとそれた話の中でも、脇役的に描かれたエピソード。
その字を書き散らかされた(!)うなぎ屋の主人が、実はうなぎが大嫌いで、嫌いだからもちろん、おいしくも調理できないし、でも、親が残してくれたものだから店をやめるのはどうかと思う。。。と悩むのに対し、金五郎が言うのである。。。
「そなたが己の心胆に照らし、商人として正しき三つを歩むならば、何故神仏がそれをお怒りになろう。必ず守護してくださるはずじゃ。商売を替えても、商人の志に曇りがなければ、父はむしろ喜ぶであろう」
うなぎ屋という自分に合わない看板を背負うより、好きな料理で店を繁盛させた方が亡き父も喜ぶに違いない。。。うん。イヤイヤ、ムリムリで↘なるより、好きなことをして↗だとWINWINじゃん!って事。色んな縁が巡って、ステキな飯屋がまたを笑顔にする。。。いいあぁ。。。と思った。
そして、表題にある「三八野愛郷録」とは救荒録。未曽有の飢饉が発生した当時の様子と、飢饉対策のてだてを記録した書。それを一度は目にしておきながら軽んじてしまったことを気に病む笙之介。。。
人類は、過去から何度も自然によって淘汰されそうになる。それに対する対策があってこそ、今まだ、人類は繁栄を極めている。。
コロナ禍が吹き荒れる現在、笙之介のそういう気持ちが、ちょっと、刺さった李もするのである。
第三話「拐かし」
身代金要求の誘拐は、実は偽装誘拐であった。
生みの親と、育ての親。どっちが本物?なんて当人にしかわからない悩みに付け込んでお金を奪おうとした輩に利用されたとはいえ、それがきっかけになって遠慮によって口に出せなかったことを言い合えて、めでたしめでたし。。。
笙之介に出会ったことで、和香さんも強くなり、結果、娘のこわばった心をほぐしちゃいました!誰だって、心に傷はあるもので、和香さんの場合はその原因が目に見えてて、目をそらしようがなかったけど、見えない方が辛いという。
そう、いさかい事は、目に見えていれば、解決しようがあるのだ。見えない「心」というのが厄介で。。あ~だこ~だと想像し出すと、人の思考ってのは悪い方へ動くものだ。口に出して、可視化することで、新しい道が開ける可能性は広がるのだ。
ただ、私の場合、言いすぎて、言わずもがなの事まで調子に乗って言いすぎて。。。口は災いの元でもあるのよね。。。わかってはいるけど繰り返す失敗。。。生きていくのは、難しい。。。
そして、いよいよ第四話。物語の結末だわね~。読んだくせに覚えてなくて、でも最新作で、以前の住人として語られていた結末は。。。。いい話じゃなかった。。
でも、笙之介の仇討(?)を、さぁ、見届けよう!!