第155回芥川賞を受賞して大騒ぎになってたのが文庫本になったのを機に読んでみた・・・といっても、文庫化されたのが2018年9月という事だから随分と時間は流れてるのですが、そこはご愛敬、はじめましての作家さんです。
最初、読み始めたとき、コンビニ店員経験のある私なので、一気に物語に吸い込まれたんだけど、あれ??え??むむむ。。。と考え込んでしまった。
帯に(裏面)書いてある。。。「普通」とは何か?
うん。私は、小さいころからとにかく、普通、人とおんなじが好きだった。母親が割とみんなと区別をつけたがる性分だったのか、個性的なものを、服とか、カバンとか、、を持たせたがったが、私はいつも「みんなとおんなじがいいの!」と言ってた記憶がある。
コンビニの音に共感して、そうそう!って言ってたのに、いわゆる普通でない主人公古倉恵子に対して、それはそれで不思議で仕方がなかった。まぁ、彼女の場合、まさにこの世の中での普通が何かという感覚を持ち合わせていなかったわけで、でも反面とても自由だと思った。でもそんな彼女も、コンビニ店員という役を演じる(?)ことで世界の1部であったというのは、決して悪い事ではないと思っていたのだが。。。
ただ、私は、圧倒的に周りにいる人間側で、人の悪口を言ったり、噂話をしたり、自分と同じでないものをはじき出そうとしたり。。。恵子にとってなぜそんなことをするのか理解できない人。。。なんか、反省の時間でもあった。
・・・にしても、白羽さんも圧倒的な人物であった。。。人間の「負」の感情をあれだけ自由に口にしてたら、そりゃ、はじかれてしまうのが世の条理。私は先頭を切って彼を責め立てるだろう。。。
逃げて消えようとする彼に対して、やっぱり、コンビニ店員であることを選びきった彼女はすごいなと。。。でも、そうあることが彼女にとって全てであったとも思われるラスト。。。いるべき場所を見つけた彼女ということで、私にはハッピーエンドに思えた。もちろん、自分らしさとは違うマニュアル世界でコンビニ店員を演じるコンビニ人間として生きる彼女は不幸だとバッドエンドだという人も多いのだろう。それゆえに、24か国語にも翻訳される世界各国のベストセラーとなったのだろう。何を良しとするかは世界各国でまた全然違ったとらえ方ができるのであるだろうから。。。
でもよく考えると、コンビニの社員さんになるという選択肢はなかったのだろうか?18年もお店をささえてたら、そういう話が店長あたりから来てもいいとは思えるのだが。。。18年で8人も変わった店長ということは、直営店なのであるからして。。。という話は、いらないか。。。(^^;
あぁ、なるほど、話題の1冊。表現がとても独創的で、ある種の美しさみたいなものを感じる文章であるけれど、でも私的に、彼女の他の作品も読んでみたいとは、今のところ思わなかったかな。