makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

三之続「泣き童子」より「まぐる笛」

宮部みゆきさんの三島屋変調百物語三之続(第3巻)泣き童子より

まぐる笛

 

まぐる。ハリポタファンから言えば、まぐる→マグル=魔法続でない(魔法を使えない)人間のこと。でも、この物語に出てくるまぐるとは、人を食らう妖怪(妖獣?)のこと。恨みが、形をなしたもの。

昔、山々がゆがかに開かれる以前、人びとが狩りや炭焼きでかつかつと暮らしていたころに、領主の圧政に苦しみ、戦に駆り出され、飢え乾いて無残に死んでいった山の者たちの怨念がまぐるになって現れる

恨みだから、殺せない。殺されてはなお恨みが募る。だからまぐるという恨みに、己をを喰わせて消し去る。。。

 

獣が自分を食べて、苦しみながら、死んでゆく。。。恐ろしい風景。

そして、そうするようにあやつるのが村のある一人の女だけが、身ににつけている口笛というか歌声というか、それが、まぐる笛。

 

ものすごい方言で話す語り手は、そのまぐる笛の使い手の息子。母が亡くなったので誰かに語っておきたかった。妹は、幸か不幸かまぐる笛の使い手にはならなかった。

「幸か不幸か」それも難しい問題。そんな重責を負うことがなかった幸。もしもまぐるに遭遇してしまったら、退治できず喰われてしまう確率が高い不幸。どっちがいい?・・・といわれても・・・

 

このお話では、村の権力争いとか、ガキ大将のいじめ問題とか、うっかりものと噂される小吉という男とかいろんな問題が包括されているのよね。そもそも、まぐる笛の使い手は女でないといけない。っていうのも。。。

 

それを、まぐるという妖獣=「悪」を退治するって冒険物語(?ちょっと違うか。。)風にまとめてあるけど。

 

やっぱり、人間は醜い。。。

今現実社会では、マスクに始まり、トイレットペーパーなどの買い占め、からの高値転売。。。

自分だけが良ければいいのか?ちがうでしょ!?ってホントにむしゃくしゃしてる。

まぐるのような、見てすぐわかる「悪者」なら退治のしようもあるんだろうが、姿の見えない、その悪意、そして、ウイルス!!

まぐる笛の使い手のような、そんな「今」を救ってくれる人が、どこかにいないんだろうか?