三之続「泣き童子」より「小雪舞う日の怪談語り」
宮部みゆきさんの三島屋変調百物語三之続(第3巻)泣き童子より
「小雪舞う日の怪談語り」
前作で、警察沙汰などがあったからって、おちかちゃんが怪談話を聞きに行くってことになった話。
逆さ柱を立てたという大工さんの話。ころんじゃいけない橋で転んでしまって、我が子ではなく自分の寿命を差し出した母親の話。病の気が見える千里眼の話。悪行尽くした十手持ちの死にゆく様に立ち会った話。
それぞれ妖艶だったけれど、ホントに聞き捨ての話で、なぜとかその後とかを気にすることもなくっていうか、そもそも、話の途中で問うこともなく、あぁ、不思議な話を聞いた怖い話を聞いた。。。それだけ。(といういい方もなんだけどね。。。)
しかし、怪談語りをいたしますと、種々のお話を通して、神仙の御力、あるいはあやかしの不思議さや恐ろしさに、自ずと身が引き締まることは確かでございます。人の知恵や理屈の届かぬ出来事を聞き知り、人の身の分際を弁える。魂魄震えて塵が落ち、我欲滅して気が澄み渡る。その効用の有難みに・・・・
という主催者の言葉が、この章の肝かな。。。と思いつつ。。。
ただ、三島屋に冬奉公に来た、おこち、おえい親子のおこぼさん(おじぞうさん、小法師さん)にまつわるお話が、とてもよかった。
黒子の親分、青野利一郎さん、お勝さんと、雪の降る夜に出かけたおちか。
淡い恋心を再び心に抱き、外の世界で新しい風にあたったおちかのもとにやってきたおこぼさん。
不思議な縁が、未来をつなぐ。。。
人間は、前を向いて生きていかねばならない。そうすれば、いつか幸せに。。(^^)v