makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

事続「あんじゅう」より第四話「吼える仏」~終章

宮部みゆきさんの三島屋変調百物語事続(第二巻)より 第四話は 吼える仏

 

「暗獣」の物語により縁がつながったちびっこたちと青瓢箪の青野利一郎。

さらにその縁から偽坊主の行然坊。彼と会ってみたいというのを口実におちかは彼を黒白の間に招き、不思議話を聞くことになる。

人の箍(たが)。人の良心。誰かの上に君臨し、その生殺与奪を握ったとき、それは呆気なく外れることがある。とりわけ、衆を頼んで事を起こすときには。

行然坊がまだ若かった頃、館形という山村に立ち寄った時の出来事。村は山の恵みで結構豊かだったけど、その豊かさを搾取されないようにと、覚念和尚を頭として、周りとの交わりを避けて暮らしてきた。そのやり方に異を唱えた富一が見せしめのように、囚われの身となっていた。

富一は恨みをため込み、薪の中に見出した木仏に呪い(?)をかけ、村を崩壊させる。。。この世に神などいるものかと!!!

それから、行然坊の偽坊主の旅に、「御仏をお探ししよう。そしていつかそのお声を聞けたなら、館形を訪ね、富一に教えてやろう」という目的ができたのだ。。。

 

集団心理の怖さ。。。ということだろうね。

この案件では制裁の正当化。よそ者の行然坊から見れば、富一を閉じ込めてうんぬんってのはおかしいっていうのは明らか。冷静になれば、「おかしい」事が、堂々と「正しい」になってしまう恐ろしさ。

胸に手を当てると、そりゃぁ、心当たりがざくざくと(^^; 人間って怖いよなぁ。

 

そして、正しかった覚念和尚がきがつけば、(富一の操る木仏のせいであるようだけど)今度は逆に、罰せられる側にすり替わっていく。。。これまた、きれいに集団心理にあおられて。。。

ほんと、人間は恐ろしい。私自身、周りに惑わされずに、そしてまた、惑わすことのないように、しっかりと自分を持たねば。。などと、心に刻むけど、風に吹かれるように流れまくる私には、きっと無理であろう(-_-)。。。でも、疑似体験するだけでも価値はある!はず!?(笑)

 

 

行然坊さん。自分を偽坊主という割に、絶対、いい人(^^)

館形での立ち居振る舞いはもちろんの事(一目散に目をそらして逃げれば済むのに、助けよう、助けようと頑張った!)、ちびっこたちに好かれるというのは!

そして物語を語りに来た日に三島屋の屋根の上に暈を見て、気を付けよと忠告し、終章につながっていく。。

 

そう、終章では、三島屋に泥棒が入るのだ!ここで前回出場の「黒子の親分」再登場♪「紅袢纏の半吉」っていうステキなお名前(笑)そして泥棒一味の頭は「金魚の安」!登場人物たちの個性の強さ(?)もこの物語の楽しさですな!!( *´艸`)

 

人との交わりを頑なに拒んでいたおちかちゃんの目が、随分と外に向いてきて物語が明るくなってきた!?行然坊さんには、おちかの心の暈を見透かされてるけど・・・

 

行然坊がお民と語る、「御仏の業」「人の世の縁の妙」どっちも探して見つかるというものではない。でもそれを頼りに、人は生きていけるんだよな。

つらい事はつらいけど、それをちょっとずつ忘れながら、乗り越えていきながら。。

 

人生、楽ありゃ、苦もあるさ~。 って水戸黄門の主題歌を口ずさむ私なのでした。