宮部みゆきさんの三島屋変調百物語伍之続(第五巻)あやかし草紙より
第五話 金目の猫
おちかちゃん、最終章である。
先の章でおちかの実家丸千で、喜一が嫁を貰い、新たな始まりをうけて、おちか自身も勘一に逆プロポーズという。。。一気に幸せムード満開ななか、三島屋では長男伊一郎と次男富次郎が黒白の間で語らうという。。。
三島屋が、新しい店を構えた当時の兄弟の逸話。弟が悲しみの為に封印していた記憶が兄によって解き明かされる。。。
なんかね、伊一郎がとんでもなくいけ好かない感じなんですよ。そして、富次郎はそんなころから甘えん坊でへたれなおぼっちゃま。大丈夫か!?三島屋。。。なんて不安が頭をよぎったけれど。。。
伊一郎は、ちっちゃな子供だったのに、ひとりで悲しみを乗り越えたんだね。手習い所って言うのは、昔の子供にとって、学問だけじゃなく、いろんなことを引き受けてくれる子供の避難所でもあったのね。。。
生霊になってしまったおきんさん。主人夫婦が嫌う猫にならずとも。。という兄弟の会話が面白い・・・
「カナヘビにでも」といった富次郎に対し
「白猫になったのは私とおまえさんが猫好きだったから。縁起のいい金目だったのは、おきんさんが三島屋の繁盛を願ってくれたからに決まってる」と言いのけた伊一郎。
あぁ。。。こんなところにまでも、できのいい兄とへたれな弟の違いがあらわに。。。(^^;
まぁ、そんなできすぎた兄より、愛嬌のある弟が百物語の聞き手としてはふさわしいのだろうけど・・・
おちかの花嫁行列に涙腺崩壊。。。なんてステキな一行なんでしょう!!
新太と丸子も愛らしい。。。
そして登場する「商人」
かつて、おちかに対し「がっかりした。期待外れだった」とのたまったあの商人が、「どうぞお幸せに」と伝言を残す。だから、きっとおちかはもう大丈夫。
でも、富次郎じゃ、彼にたちうちなんてできそうにないぞ!?
この「金目の猫」の前までで、二十六の話を聞き捨てたと書いてある。
この章の聞き手は富次郎だったから、おちかちゃんだけで二十六。一話づず丁寧に書いてきたはずが、記事数23。?あれ??
不思議に思うと、最後にシリーズ既刊の本の案内がついていて。。。
「泣き童子」でおでかけして行って聞いた4つのお話をそれぞれ別にすべきでしたか。。。まぁ、いいや(笑)
これにて、とりあえず、三島屋変調物語再読、無事終了!!