makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

伍之続「あやかし草紙」より第二話「だんまり姫」

宮部みゆきさんの三島屋変調百物語伍之続(第5巻)あやかし草紙より

第二話はだんまり姫。

題名は「姫」のお話だけど、今回語られる物語の主人公は一国様。

十歳の丸坊主の男の子。若くして亡くなったさきのおつぎさま。

この子は、側室の子供で、正室の子供との跡目争い(といっても周りが勝手に盛り上がっただけだけど)のため、毒殺された。実のおじいちゃまに。愛を持って。。。

納得して(?)殺されたから、恨みを持ってるわけじゃないけど、城に囚われていて、そのおかげで、小さな姫の声も奪ってしまっている。自分だけじゃお城を出ることができなくて、何か容れ物に入ってなら、可能かもしれない。それに憑いて一緒に出ると呪はとける。。。

そこで、この物語の語り手おせいが、手を尽くして、人形芝居の人形の中に憑いて外に出ることを計画し、成功するのだが。。。おせいは、悪を成敗する武者人形に入るように言ったのだけど、実際一国様は、その敵、大蜘蛛の張り子に憑くのである。そしてこう言う。。。

一座とともに旅し、その土地の災いを一心に集める形代となろう。

そして何度でも討たれよう。滅びることを寿がれよう。そのたびごとに、憎まれ忌まれて消えてゆくこの世の邪魔者、悪しき者共の恨みと悲しみを、わあは喰らおう。喰らって喰らって清めてやろう。そのようにして、この世の衆生を守るものとなろう。

ー一国の城主よりも、はるかに偉いものになってやろうぞ。

泣ける。。。。だって、10歳の男の子だよ。

ただ、囚われのお城に、政権を争った(あくまでも、周りが勝手にだけど)自分より年下の正妻の子が城主となったお城に何十年も囚われて、そしてかわいい姫様が声を出せずに困っている。周りの者も、かわいそうな一国様が殺されたことを忘れたいと願い、こうであったらよかったのに、事実を捻じ曲げ(?)生きている。

せっかく殺されてやったんだから(言い方に語弊があるが)、今後も、その道で人の助けになるのが、自分の道。。。所詮自分は負け組だ。。。

三者が言ったら、とてつもなく悪意がある言い方になっちゃうけど、そういう消極的な意味じゃなくて、もっと肯定的な良い意味でそういう結論になったんだと思う。

強い男の子だ。世が世なら、きっといいお殿様になったんだろうに。。

 

話は前後するのだけれど、この一国様を解き放ってあげた(?)のが今回の語り手おせい。「もんも声」をもち、そのもんも声は亡者を起こし、あやかしに呼びかけ呼び寄せる。。。それは当然、嫌われるわけで。。。苦労するけど、でもその声のおかげで、優しい夫婦の女中となり、そしてその縁でお城のお姫様の女中となり、一国様と出会い、今幸せに生きている。

何が幸いするかわからない。結局は自分がどう生きるかっていう事なのよね。

 

 

今、うちの会社で、とてもいい子で仕事もできる子が結婚するから辞めちゃうのね。で、新しい女の子がきてるんだけど。。。ちょっと私とは性格的にあわないのよね。まぁそれでなくても私自身が、人を見る時にまず、引き算しちゃうのよね。ここが嫌。あれが気に入らない。なんでそんなことするの??

この本読んでて、どこがそう思ったか、はたと気付いたのよね。こんな私ってまさに「イヤミなお局様じゃね?」って。。。(^^; だめだ!いいところをみなきゃ!!

自分改革中でございます(笑)

 

 

話はもどり、変わり百物語の舞台、三島屋では、聞き手が三島屋の次男坊富次郎と二人になり、ちょうどこのお話から、聞き捨てにするお話を、掛け軸の代わりに掛けた真っ白な半紙に、富次郎が絵に起こすことになった。。。

おちかは瓢箪古堂の勘一と恵比寿講の喧騒から逃れそっと語らっている。。

ここにも変化が起こっているなぁ。。。

 

 

くろすけ、ひだる神につづく、愛すべき我がおきにいりのあやかし。。。一国様、追加です(^^)