makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

スピンオフと見せかけて実は、本編「日暮らし」のモノローグ!?

宮部さんの再読シリーズ。終わりにする予定だったのが、最新作に大人になった「おでこ」が出てきたものだから。。。ぼんくらに続いてやっぱり読むことになった。

宮部みゆきさん「日暮らし」上巻である。

 

 

おまんま

嫌いの虫

子盗り鬼

なけなし三昧

日暮らし

 

4つの短編を受けて、表題作「日暮らし」につづき、それは前作「ぼんくら」の決着になる。。。(多分。。。3度目の再読だけど、多分としか言えない私。。。)

 

おまんま

「おでこ」ちゃんの物思い。。。恋煩いかとおもいきや。。。

扇子に似顔絵、押し込み事件。。。。これもまだ後日談があった気が!?

 

嫌いの虫

鉄瓶長屋の若き差配人だった佐吉。長屋がなくなり、植木職人に戻って、結婚して、よかった~(^^)って安心したのもつかの間。。。

お隣の徳さんとおとみさんちの事情も、悲しいかな。。。

ここで新妻お恵を苦しめた佐吉は。。。。「日暮らし」で明らかに!

 

子盗り鬼

ストーカー男から二人の子供を連れたお六が逃げ込んだのは、葵奥様のお屋敷。

奥様→鉄瓶長屋の後のお屋敷→おふじって勘違いして読み始めたけど、そうじゃない!

葵さんは、おふじさんに殺されたはずだけど、実は生き延びていた佐吉のお母さん!!

寂しいながらも穏やかな日々。お六を守るために手妻を仕掛ける!片が付いたお六にかけた言葉が、子供(佐吉)への懺悔を感じたけれど、それはそれで、そうしか生きられなかった彼女。ふっきって、お六と子供たちと、そして旦那様と、静かに、ちょっと賑やかに(!)暮らして行ければいいなって思ったのになぁ。。。

 

なけなし三昧

鉄瓶長屋から幸兵衛長屋に移った煮物やのお徳さん。

3軒隣に商売敵となるおみねがやてきた。しかしその商い方法は、悪い男と再会するためだった!?

直接かかわりをとめられたから、お徳さんが主役ではない物語だけれど、これがあったから、お徳さんの人生も転がっていくんだよねぇ。。。。と次を読んでしみじみ。

 

日暮らし

葵が殺された。下手人として捕まったのは佐吉。

そしてお徳はおみねが残したお店と二人の働き手の世話を見ることに。。。そしてさらには火事で休職中の料理人が!?

 

続く下巻で前4作で敷き詰められた伏線の回収。いや、4作のみならず前作「ぼんくら」から続くもやもやが、明らかになる!・・・はず!?

 

 

「ツナグ」研修中の歩美くん。

先日ツナグの2作目の文庫版が発売になって、先にこっち復讐してから読むのが絶対良い!とかって計画してたのに、2冊目を読み、もちろん十分それだけで楽しめたけど、やっぱりもやもや。。。そして、戻ってきた「ツナグ」である。

2作目を本棚に並べるときにびっくりしたよ。へぇ、これも辻村深月さんなんだ~って・・・初期シリーズ(あちこちで入り乱れる登場人物たち!)とは、ちょっと感じがちがうから、わからなかったよ!

最初読んだ時の感想(2013年)読んでたら、ふ~ん。って感じで特によかった~とかって印象はなかったんだけど、お涙頂戴だけでなく、ヘビーなとこがあったり、でもやっぱりとても素敵だったり。。。

とっとと2冊セットで売りに出そうと思ってたけど、やめます!

さらなる続編(3)を望み、その時、あれ?どんな話??って考えこまずに済むようにするための。。。まとめ記事。

 

 

アイドルの心得

平瀬愛美→水城サヲリ

人との付き合いが苦手な愛美。ひょんなことで出会い、助けてくれた(心身ともに)アイドルのサヲリがある日突然亡くなった。壮絶な過去を持つサヲリ。自殺?

心のよりどころを亡くした愛美は、ただのファンという存在ながら、面会を求める。

 

長男の心得

畠田靖彦→ツル

山の権利書の場所がどうしても見つからない。家を仕切っていた母親ならばわかるはず。という理由で面会を求めた畠田家の長男靖彦は、いわゆる「けむたい」男であった。。そして次男の久仁彦にコンプレックスを抱き、さらに自分の長男太一が男らしくない(?)ことに腹を立てている。。。。

といいながら、ホントのところは自信がなくて、ただただ母親に会いたかった! 笑

母ツルはその昔、使者を通じて靖彦の父である旦那に会っている。それはなんと、孫(靖彦の息子)を連れて!! 

生きているうちに1度だけ。。の理がこんなところに!ってびっくりだね。

なんだかんだといいながら、歩美に、自分を頼って来いと名刺を渡すところ。いい場面。

 

親友の心得

嵐美砂→御園奈津

悪いのは美砂か、それとも奈津か。

確かに美砂は、思いあがった自己中的なところがあるけれど。。。本質的には弱虫。

それに対して、美砂が自分のものと望んでいたオーデション(?)に立候補したり、使者を通じての再開の時に、あれだけ楽しく話しながらも最後に爆弾を落とすあたり、結構したたかなのか??

使者と再会しても、誰もが幸せになるわけじゃない!!その見本ですね。

 

待ち人の心得

おばあちゃんがスカウト(?)した依頼人

土谷功一→日向キララ(鍬本輝子)

結婚を約束(?)しながら、いなくなって7年もたつキララを、それでも待ち続ける功一。そんな功一が現実を見たくなくて、仕事に熱中。過労で入院した病院が、歩美の祖母と同じだった。それが運命。

使者に依頼すること。そして、会えること。それはキララが死んでしまっているという事。その現実を受け入れられない、受け入れたくない功一に、歩美は雨の中を駆け回り、会うべきだと諭す。。。

 

使者の心得

祖母アイ子さんから使者(つなぐ)を引き継ぐ主人公歩美。

ここまでの4つの物語の、使者、歩美目線での物語。(いわゆる裏話的な??)

依頼者との最初の待ち合わせ場所が、なぜ病院の、それも中庭だったのか。。。とか。

アイドルの心得の愛美が、待ち人の心得に出てくるんだけれども、「死ぬつもり」だった彼女が人と関わりながら、しっかりと生きていたことはうれしかったよ!

親友の心得で、まちがってしまった美砂のその後。。。

にしても、歩美君のコートの話。本編で読んだ時に、確かにあれ?って思ったけれど。。。その話を聞いた奈津ってどんな気持ち?本編とこの章で語られる美砂と奈津。どちらもつらくてそして腹立たしい。「道は凍ってなかったよ」その言葉の爆弾をあえて投下した奈津。ホントは、どうだったんだろうな。。。でも、美砂のさらなる(?)裏切り(コートの件?)を知ってなお、その時間を笑って過ごした奈津はどんなだったんだろう。。うん、絶対、奈津の方が結局強いんだね。そして美砂はこれからも生きていかないといけない。。。。そして生きていく美砂を見続けた使者であり、同級生である歩美君。(そして次作7年後に再び。。。でも、まだあのコート着てた?ってつぶやいてたよね。コート事件の美砂の発言は、悪意なんて、なかったんだろうなぁ。。。)

そして、これは長男の心得の時に、「両親ともいない。小さい頃に会ったきり」と答えた歩美の両親の話が明かされる。その真実が。。。愛にあふれてた。その答えにたどり着いた歩美の優しさと強さ。

迷いながらの研修案件で、感じた人間の弱さ、醜さみたいなのを目の当たりにしながらも、人間の優しさ、強さを感じ取ることができた歩美くん。すごいなぁ。。。

そしてその答えが、祖母の後悔をも晴らしてしまうものだったから。。

 

そうして歩美くんは使者になった。そして、秋山家の離れられない(いい意味で)一員になって物語は終わる。。。。正確には、7年後のシリーズ2作目に続く。。。

三島屋変調百物語八之続 「よって件のごとし」

宮部みゆきさんの百物語8巻、表題作にして第三話「よって件のごとし」

読メの感想とか見てたら、とにかく怖いみたいな感じだったんだけど、思ったのとは違った。怖くなかったわけじゃないんだけれども、なんていうの?うまく逃げてこられた(?)わけで、今回の語り部の二人、真吾と花江(花代)が三十二年の時を経て、「この一件にかかわった誰にとっても、誇らしくこそあれ、恥じる出来事ではございません」と言い切れる今を生きているから。。。

 

 

奥州久崎藩の夜見ノ池、その池底で黄泉ノ池とつながった奥州江崎藩羽入田村。

都合、こちら側とあちら側と呼ぶとして、こちら側は藩の殿さまもいい人で、おまけに紙すきという特産をもち、割と裕福なのにくらべ、あちら側は、取り立てばかり厳しく村人のことをあんまりかんがえないので、生きていくのさえ、かつかつな村。

そんなあちら側では、「ひとでなし」なる化け物が数年おきに出現。もとは地割れから生まれてくる腐れ鬼なる化け物にかみつかれた人がひとでなしになり、そのひとでなしがたくさんの人にかみついたら腐れ鬼になりはてる。地割れから発生した隠れ鬼は日光に弱く、数日で息絶えるがひとでなしから堕ちた腐れ鬼は、弱みがない。。。人でなし腐れ鬼は、首を落とすことで死ぬけれど倍々ゲームで増えていった暁には。。。

江崎藩のおえらがたは、そんな腐れ鬼やひとでなしのことをずいぶん軽く見ていて、詳しい事を知るものが少なく、おまけに、一度にあまりでてこない、複数個所に地割れが起こることはないという所説を覆し、今、羽入田村ばかりか近隣も、隠れ鬼とひとでなしがわんさかわんさか。。。止める手立てはもうない。。。

あちら側の花江の助けての言葉に応じてこちら側から向かった真吾達。結局はあちら側を捨てて、こちら側に人々を迎え入れることでしか助ける道はなかった。

同じ池でつながってて、石高でいえばそうそう変わらないはずなのに、その差はすごくて、統べる人の力量ってのは、すごいものなんだな~。その辺の対比をうまく描いてるな~なんて、しみじみする。隠れ鬼のことを抜きにしても、こちら側に渡ってこれて、年貢の取り立てから逃れられたことだけでもよかったと語るあちら側から来た人々。結局、こちら側ではあまり長くは生きられないもようだけれども。。。

う~ん。。。

ただ、こちら側でもあちら側でもやはり色んな人がいるわけで。。。

ちょっと頼りないあとつぎ真吾。責任感がとても強い花江をはじめ、ちょっと調子が良すぎるんじゃない?って質屋の門左衛門。残ればすべての田畑が自分のものになるなら残るという巳三になんともまぁ!とあきれれば、弟松吉の身を最後まで案じていた常吉の最後(?)は。。。真吾の父、弟たちも愛嬌たっぷりでこの浅川家のもとでこちら側の村人たちはもちろん、移っていくあちら側の人たちは、幸せになれること間違いなしだ。

 

 

そして三島屋では長男伊一郎が帰ってきた!富次郎のこの先はいかに?そしておちかちゃんのお産は。。。

次作ではまたがらっと雰囲気がかわりそうだけれども、この三島屋シリーズは宮部さんのライフワークだそうだから、楽しみに待つとしよう。

 

でも、富次郎ってなんか、ちょっと違う気がする。。。あくまでも私の好みの問題だとは思うんだけど。。。話を聞いて、絵をかき散らすって言うのは、なんかいただけないんだよなぁ。。。