伊坂幸太郎さんの新作「シーソーモンスター」が文庫されたので早速読んだ。
(読み始めた~っていうくだりは、本ブログのほうで言及したからここは割愛)
結局、昭和後期の「シーソーモンスター」に続き、近未来の「スピンモンスター」。
いやぁ、呼びかけ者だからって2つ担当するのはいいけど、それなら別の本にしてよ~って感じ(^^; 8人の作家さんが参加されている。。。って言っても私が読む文庫本になってるのはまだ1冊(今月末にさらに1冊かな)だから、もし、そっちにとんだ時、あぁ!!ってわかるように、自分なりにまとめておこうと思った。
そう、特報!とかって第2弾もスタートしたってあるしね(^^;
「シーソーモンスター」
時代 昭和後期
海族(目が蒼い=北山宮子(諜報活動員・スパイ的(?)な)
山族(耳が大きい=北山セツ(義母・宮古とは実は同業)
審判=石黒市夫(生命保険会社の営業マン)
製薬会社に勤める北山直人は、「嫁(宮子)姑(セツ)問題」に頭を悩ませていた。
同僚綿貫さんから担当を引き継いだO病院の若院長の保険料不正請求。それを告発しようとして行方不明に。。。(綿貫により、自殺させられそうになっている)
一方宮子も、いろいろと危険な目に合う。かつて義父がなくなったこととあわせもって、セツを疑い、結婚を機に退職した元職場の力を使って、謎を暴こうとする。
そんな時ににいなくなった夫の救出に向かうが、そこにはさらに義母のセツまでも!なんと彼女も昔、彼女の同業であったというオチ。。
直人と結婚する前、宮子は同居なんて大したことないと思ってた。けど、実際顔を合わすとどうしても反発しあう。それを突然現れた保険の営業マン石黒審判員が、海と山との運命を説き、しょうがないことだと教える
直人の救出をもってそれも終わるかとおもいきや。。。。
別居して、宮古が文章、セツが絵を担当してカタツムリのヒーローの絵本「アイムマイマイ」の作成を始める。ところで物語は終わる。
時代はバブル真っただ中。ディスコで踊り狂いお金を使いまくる人々。そんな時、日本経済はいつか悪くなるのかなという直人の疑問に、宮子は答えている「そんなに遠くないんじゃない?かなり落ち込んで、後の数十年はあの頃に戻らないかな、って思い続けるのかも。」
深い。深すぎる!!っていっても、まぁ、伊坂先生は、今の時代を生きてるからそうなることを知ってたわけで、事実起こった現実を宮子にしゃべらせているだけだけど。。
時系列が思いっきり行ったり来たりしたけどこんな感じね。
本サイトのほうで私、キレイに感想まとめてるじゃん!再び。。。
まぁでも、どうしても仲良くできない、嫁(妻)の宮子と姑(母)セツとの間に挟まれるもう一人(?)の主人公(?)直人の職場での立ち位置、宮子の前のお仕事系、謎の石黒市夫、そして懐かしきかなバブリーな時代からみすえる(実際今私がいる)現代への予言。
ぐいぐいと引き込まれはした。嫁姑摩擦問題の解決(?)も、ある意味「めでたしめでたし」でないところが伊坂さんらしいやなんて思ったりした。
「スピンモンスター」
時代 近未来
海族=水戸直正(手紙配達人) 右目にカメラが埋め込まれている
山族=檜山景虎(警察官)
審判=日向恭子(直正の恋人)
新幹線で寺島テラオから中尊寺敦への手紙の配達を頼まれた水戸直人。仙台の公演で無事に配達を終えるのだが、それにまつわる謎解き(?)に付き合わされることとなる。
時代は近未来。何をするにも監視カメラやら、その他もろもろデータでもって、人類は監視されている。その網をかいくぐりながら、寺島の作った人工知能ウェレカセリを破壊することを託された中尊寺(と直正)。彼の残した文字を頼りに、川のそばにある水戸の大好きな絵本作家の「せつみやこ」さんにたどり着き、海族山族の話を教えられる。彼、水戸にも、水と油のような男、檜山がいたからである。ちなみに現在水戸は、警察官である檜山に追われていている。
せつみやこさんは、前作の北山宮子さん。彼女が90歳越えになっているところが、近未来である!!
檜山の記憶と、水戸の記憶が、なにやらおかしなことになった私たち読者のまえにぶっこまれたのは、水戸の目には、人工知能学習用のカメラが埋め込まれていたということである!!それによって、水戸の記憶は、改変されていた!!!
水戸を追う警察官檜山は、水戸の恋人日向恭子に証言を得るために会いに行くのだが、彼はここで海族山族の話を聞くことになる。間に立つ審判が、この立ち位置とは!!
変化があって、初めて人は進化する。byみやこさん
ぶつかり合わなければ何も起きない、何も進化しない。争いはなくならない。争い続けること自体が、目的なんだから by檜山
言いえてるんだけど、怖いよなぁ。。。
あと、実際に起こってないことでもニュースとしてネット(?)に上がることで真実になっていくっていうあたり。。。まだそこまでには達してないけど、近い将来そうなっても全然おかしくない未来。想像で(作者言)描いてあるにしても、現実的で。。。
うん、人工知能に頼る世界になんてならないで!!ウェレカセリ、つぶす以前に、寺島さん、作らないで~って感じである(^^;
あと、重要なんだよね?東京都を分断する「壁」の建設が始まってる。。
ɤのメンバーだれかが死んだら。。。なんて、面白い(興味深いの意味)発想は、実話をもとにしたエピソードだとか。
結局、檜山に撃たれて植物状態になってしまう水戸。その瞳にお見舞いに現れた姿を映しておけばログが残るという中尊寺。ラストも、なんだか、先を知りたいような、知りたくないような。。。
スパイモンスターにシーソーモンスターの後日談(?)が出てきたように、さらなるあと時代の作家さんのお話に、出てきたりするのかなぁ。。。
って、未来の「天使も怪物も眠る夜」を今ググったら、文庫化決定してる!!読まなくちゃ汗