makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

事始「おそろし」より第三話「邪恋」

三島屋変調百物語事始 おそろし 第三話 邪恋

 

「凶宅」おたかの話を聞いてふさぎ込んだおちかを案じて

三島屋ではおちかに休日を与え、女中仲間のおしまとゆっくりすべしとはからう。

おしまの優しさに、おちかは自分に起こった過去の恋について語るのである。

 

松太郎が良助を殺した罪。良助が松太郎を見下げた罪。

おちかが松太郎と結婚できないと聞かされて、納得してしまった罪。

波野家をないがしろにするために松太郎をつかった丸千のみんなの罪。

息子と同様だといいながら、松太郎を好む道に進ませなかった父母の罪。

そして、兄、良助、松太郎、のあいだで過去から当時の間に燃え上がった嫉妬心。

そもそも、先に斧を手にしたのは良助。。。ただ、そこに斧があった不運。

 

おちかは言ってみたら、そんなに悪くないと思うのね。

松太郎との間に恋心が通じていたとしても、大人たちの思惑に納得したとはいえ

それとは別で良助を好きになって幸せになるはずだったのは、なんの落ち度もない。

恋心なんて、そんなもんだ。

強いて悪いのは誰だといえば、もうちょっと優しくなれなかった良助。

おちかの父母だって、結局松太郎を給金のいらないあくまで倅「同然の」働き手としか

見ていなかった。せめて、行商人がやってきた時に松太郎と話し合うべきだった。

せめて気持ちをくんだやるべきだった。松太郎に自立の道もあったのに。。。

幼い兄喜一の松太郎への思いがただの嫉妬だったのかはともかく、男の子は二人

いらなかったんだよ。そもそもホントの兄弟なら、それこそ次男は家から出るじゃん!?

 

なんて、当事者じゃなく、そして悪い結果がまず目の前にあって、

だから言わんこっちゃない、こうしてればよかったのに。なんて言うのもズルだけど。

 

あと、喜一と松太郎のあいだで、どんなやり取りがあって休戦(?)となったのか

興味がある。(物語の先で、語られることあったっけかな・・・)

そもそも、松太郎がどんな身の上で、寒空の木に引っかかって凍えていたのか。。

松太郎が夢枕に立って、おちか相手には無理だから、のちに引継ぐ富次郎にでも

語ってくれたりしたらそれもまた。。。どう??

 

 

辛いのは自分だけじゃない。。。まだ二人(三人?)だけど、人の話を聞き、

そして「他人」のおしまの優しさにふれ、自分の辛さを口に出せたことでさぁ第一歩。

伊兵衛おじさんの代わり百物語の荒治療が効果てき面!!(笑)

 

さてさて次のお話は。。。