makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

事始「おそろし」より第四話「魔鏡」

三島屋変調百物語事始 おそろし 第四話「魔境」

 

変わり物語の前に、前話でのおちかの物語をうけておちかの心境が入る。

やっと過去を口に出せることができて、よかったね。第一歩だね。と感想を持った

私を鼻で笑うように、「その程度の重荷なら、もっと早くに降ろすことができただろう」って・・・!?

松太郎が自分を殺さなかったのは、おちかの自分可愛さ、良い子ちゃんの態度に

「手にかけるほどの価値もない」と悟っただったと。。。

そんなおちかにささげた(?)今までの人生がむなしくなって、死んだんだと。

そして、おちかを生かしておくことが、いちばんふさわしい罰だと考えたからだと。

え??おちかちゃん、いくらなんでもその考え方は、自分に厳しすぎやしませんか?

私が知ってる(と言っても、ホントに何も知らないが)松太郎はそんな男じゃないよ。

あぁ、そうか。これが病むってことなんだ。

そしてそう思ってるおちかは、逆に死に逃げることもできないんだなぁ。。。

 

対して、伊兵衛はいい! おちかの疑念にあっさりと「足りない」と言い切った!

おちかの落ちっぷりにくさくさしそうになってた私は思わず拍手したよ(笑)

 

そうしてやってきたのは、以前おしまがお仕えしてた家のお嬢さんのお福。

仕立屋の「石倉屋」が滅んだ顛末。お彩が別の女の体を借りてまで兄の市太郎と

添い遂げたがったという顛末。

「黒絹」がちょっと、印象的。。。

 

次のお話にまたがっていくのだけれども(この四話を読み始めて、さっさと感想を

書いてしまった自分に冷や汗をかいたので、続きは??と思えば案の定。。。)

お福がおちかに、自分ちが滅んでしまったのは、誰が悪かった?

誰も好き好んで悪者になったわけじゃなかったよねと、渦中の人物なのに言い切り

おちかの事件もそうじゃない?と諭すのである。

それに対しても、立派に(というのもおかしいが)言い返し不満を募らすおちかが

実はちょっと、かわいかった!(なんて、強情なんだ!!)

それに対して、さらにお福がばっさり!と詰ったのも、ちょっと嬉しかった。

あぁ、人はつらい経験をしても、こんなにも、立ち直れると。。。

 

そしてお民がその物語を聞いて心にかけるのは、お彩でも市太郎でもましてやお福でもなく、奉公人だっり、鏡に閉じ込められた兄嫁さんだったり。。。

 

自分の人生だから当然自分が主人公だけど、それぞれがそれぞれの人生だから

思う事、心配することもそれぞれで、自分が自分を責めるほど、人はそんな事

気にしてなくて、まぁ、気にしてない事もないけれど、心の痛める先は違う方向だ。

(こんがらかってきたぞ💦)

あなたが思う程、あなたの罪は重要じゃないよ。ってお民さんが言ってるみたいに

私には思えるのだ。

 

第1話~第4話。第三者によって語られる物語を通じて、おちかの過去が明らかに。

そして三島屋の叔父叔母、おしまの人となりも、見事に明らかになった。。。

あぁ、宮部さんのその手腕に、改めて、ほんっとにホレボレする。

 

さてさて、結びのお話に進みましょう(^^)