makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

3人の女サイコパスの「鳩笛草―燔祭・朽ちてゆくまで 」

宮部みゆきさん再読シリーズ。次は「火車」の予定だったんだけど、これは間違いなくうカード破産のお話。ほんわり覚えてる。だから次「長い長い殺人の夜」これはお財布がご主人の犯罪(?)を一緒に体験する話。多分。。。パス。「理由」これ、マンションで他人が家族になってる話。う~ん。。。。という事で、「クロスファイア」にたどり着いた。さて読もうと思ったら。。。。宮部さんが先に短編読んでね!って言ってる。立ち読みでいいからって。。。うん、確かに昔、あとから短編読んで、あの人のお話。。。って思った記憶が。。。。という事で。ここに到着

 

宮部みゆき  鳩笛草ー燔祭・朽ちてゆくまで

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3人の女サイコパスがのそれぞれ主役の短編集である。

本の題名にその3作すべての題名が入っている。文字通り、鳩笛草、燔祭、朽ちてゆくまでの3作品。順番は逆。。。作者的(編集部か?)に読ませたかったのが鳩笛草なのか?・・・にしても、かの有名作「クロスファイア」の主人公は燔祭だよ??…まぁ、なんでもいいんだけどね。

 

「朽ちてゆくまで」

主人公麻生智子の能力は予知。未来に起こる出来事を夢に見る。

幼いころの出来事で両親がビデオで記憶していたが、両親を亡くした事故と共にその能力は失われた。が、その過去の事実に絶望し自殺未遂。そして能力の復活。

 

「燔祭」

主人公青木淳子。能力はパイロキネシス(念力放火能力)。念じることで火をつける。

…正確に言えば、この話の主人公は多田一樹。妹を殺した犯人は反省もせず、でも未成年という事や親の権力で、罪から逃れようとしている。そこに登場したのが青木淳子。自分がその犯人を殺す武器になれるというのだ。結局当時、それを実行に移すことが出来なく、淳子との意見も食い違い、彼女はいなくなった。。。

物語は、その淳子による犯人への報復の事件が新聞に載ったところから始まり、事件当時のことを回想し、そして、実際彼女の事件であることを確認しようとする、やっぱり一樹の物語。。。?

 

「鳩笛草」

主人公本田貴子。他人の心が読むことが出来、その能力を生かして刑事として働いている。。。。が、その能力が体の不調を伴いながら消えていく。もう刑事としては使い物にならない。どうしよう。。。

 

簡単にあらすじを書いてみたけど、ちょっとひどいかな(^^;

 

朽ちて~も、鳩笛草も、彼女たちを助けてくれる存在がいて、なんか、ちょっと明るい未来♪っぽい終わり方なんだけれども、ひたすらなんだか暗いのが燔祭。結局、何が起こってるのかもよくわからんし。。。っていうことで、クロスファイアに続くんだっけ?いつものごとく、昔読んだ本のことはすっかり忘れてるので、楽しみにするとして。。。

 

智子の能力。ぱっと聞いただけじゃ、便利だと思うのね。でも、おさない智子は激しい頭痛とともにその能力があらわれ、おまけに、暗かったり、怖かったり。。。楽しい予知だけだったらワクワクドキドキ待てるけど、そうでない予知は、いつどこで起こるかわかんないし、だからどうすることもできないし、ただそれが起きて答え合わせができるだけ。。。むなしいし、むごい。

でも大人になった智子は、死の淵から生還(1度ならず2度も)。きっとうまく付き合いながら生きていくんだろうな。

…にしても、相続税で自宅を手放さなきゃならないなんて。。。他人事じゃないよなぁ。。。そんなことになったら困るなぁ。。。と変なところで勉強になった(笑)

 

そして、貴子の能力。そして生き方。。。貴子はその能力のおかげで刑事としてやっていけてるというけど、後半、周りの刑事仲間が、(その能力を知る、知らずとも)、きみはちゃんと刑事だよ!って認めてあげてるところが良かった。完璧なる男社会の中に入り込んできた異分子(女)なのに。。。昭和のお話だから、かれこれ30年以上前。女性刑事って言うのは、扱いが難しかった時代だったと思うのよ。だから余計に。。。

鳩笛草の人との再会を、そして貴子の能力が消えた(?んだよね??)後の物語を読みたいけれど。。。その後、多分、出てないね。残念。

中心になった事件が偽装誘拐、不倫、生みの親と育ての親。今でも起こってるこの手の事件。人間とは、成長しない生き物なのか!?(^^;

 

 

こうして再読してみると、初期の宮部作品って、サイコパスの話が多い!

魔術はささやく、龍は眠る、そして本作に、クロスファイアに続くわけでしょ?

そういう時代だったんだね~。。。

 

さてさて、いよいよ本編(?)「クロスファイア」に進むよ~。

本作鳩笛草は光文社文庫版なんだけど、クロスファイアはカッパノベス版!(って言ってもどちらもブック1で買った古書なんだけどね汗)

それでも御子柴シリーズは続くのね?「追憶の夜想曲」

岬洋介シリーズでありながら、中山作品オールスター総出演の「合唱」をより楽しむためにと「カエル男」からはじまった、中山七里作品も、6冊目。御子柴シリーズとしては2冊目の「追憶の夜想曲ノクターン」である。

 

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弁護士御子柴礼二。殺人を犯し刑に服した過去があり、弁護士=正義の味方っていう図式を木っ端みじんにしてくれた悪徳弁護士。

シリーズ1作目ではいきなり、彼による死体遺棄の場面から始まり、事件は解決(?真相を見極めた)するものの、最後は大けがをして生死をさまう。。。

そしてシリーズ2作目の冒頭では、その過去に起こした殺人の場面を夢で再現する。。。という、再びのいきなりカウンターパンチをくらったような衝撃。。。

そしてラストは、その過去の刑が明るみになるという。。。

シリーズものである。(少なくても今4冊世に出てる)という事実を知りながらも、いや、今回ばかりは弁護士続けていけないでしょうよ。シリーズは終わりでしょうよ。と思いたくなる結末。。。なんという人なんでしょうね。御子柴礼二。

 

とりあえず、そこは横にやっとくとして。。。

 

怪我をした御子柴が退院したところからストーリーが始まるわけだけど。。。あれ?なんで怪我したんだっけ。。。わき腹が痛む。。。刺されたのよね。。。思い出せないままも先が気になり、了読してから、前作をひっくり返すと。。。

今(1作目当時)扱ってる事件ではない被害者の母親に恨まれて刺されてた!うん、そうだった!(^^;

留守を預かってた事務員さんがもう二度とこんなことは。。。と心配する通り、多少常識からずれたことでも我が道を行く人、なんだよね。。。

 

でも、今回の事件。そもそも、普通なら彼女の弁護どころか、かかわることさえ避けようとするのが人情。それなのに、前任の弁護士を脅してまで自分がやろうとするその心意気。宣伝効果を期待してるってみんなには説明してたけど、そもそもひっくり返せなかったら元も子もないじゃん。なんで??からの結末に、ただただもう、びっくり。

前回でも語られた稲見さんとの出会いが、そして約束、決意を全うするとするその人間性は、やはり普通の人とはかけ離れている。やっぱ、いい人なん??って勘違い(?)しそうになる笑(もはや何が正しいのかわからんが・・)だから、やっぱり、彼から目を離せないわけで、シリーズがこれから続く事にも安堵するのである。。

 

そうそう、読メの感想には書ききれなかったんだけど、本作に登場するのは岬洋介の父親。検事岬恭平である。一度負けた御子柴になみなみならぬ対抗意識を持つところが、もはや、かわいい。。岬洋介シリーズから入った読者の一人として、父恭平は、かなり煙たい存在だけど。。。おっとり(?)とした洋介とは、これじゃ、そりゃぁ、意見が合うはずもないよと思うけど。。。悪い人ではない、ホント仕事熱心な堅物だけど笑

 

それから、同業の弁護士宝来兼人。 「合唱」のあとがきに結構出てくる名前で、主人公以外の同業者?部下か何かか?な~んて思ってたら、わりと情けない人で。。。ありあまる気骨を持った御子柴とは対照的でまた違った意味で弁護士らしくない感じ?へぇ~って感じだった。ホント、中山作品にはいろんな人がいて面白い。物覚えが恐ろしく悪い私には結構大変だけど、ここでちょっと記録しておこう笑

 

まぁ、同業って言ったら、先輩?に当たるのか??弁護士会重鎮である鬼崎こと谷崎氏の言葉は興味深い「この世には三つだけ嘘を吐いても良いとされる職業がある。日銀総裁と、物書きと、そして弁護士だ」。日銀総裁はちょっとわからないけど、たった三つの選択肢に物書き、つまり自分(作者)入れてるじゃん(笑)って、ちょっとツボだった。そうか、この人がいるから、(彼は御子柴の過去の事件を知っている!)、この後シリーズは続いていくのか??この名前も忘れてはならない。。。( ..)φメモメモ

 

 

で最後にちょっとだけ、本編。

彼女(母親)がかばうのは娘の二人どっちかだと思ってた。ただ倫子ちゃんはあまりにも良い子で(^^)そうすると、病気がちのお姉ちゃん!?そして、さしはさまれた男が少女凌辱を想像する場面。そっか。。。でもそれをうまく事件に結び付けられなくて、彼だとは思わなかったね~。そのちょっと前に証人で呼び出された貸金の取り立ての人(?)が!!なんて思ってしまった汗。私が想像することと言えば案の定。。。彼はあくまでも通りすがりのただのわき役だったか笑

これから倫子ちゃんの人生はとても大変なことになるだろう。。。まっすぐなかわいらしさ、をこのまま持ち続けてくれるといいなと願う勝手な大人の私なのである。

 

変わった人たち大集合「龍は眠る」

宮部みゆきさん再読シリーズ。「龍は眠る」

図書館読みして、その後古本屋で買い集めた宮部さん本。気付かず2冊も買ってしまい、1冊友人に譲った。。。。それは覚えてる。でも内容、まったく覚えてなかった(笑)

事件の始まり、マンホールのふたとそこに落ちる子供、それを見透かす少年。そこを読んでるときに、あぁ!とかってな~んとなく・・・思ったけれど、その先は全く( ;∀;)

そうそう、サイコパスのお話。。。。!?・・・「魔術はささやく」に続く第2弾!?物語の中でも語られてたけど、スプーン曲げのユリゲラーとか、確かに当時、流行ってたね~(^^)

 

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さてさて、物語もさることながら、ちょっと変わった登場人物が多かった!?

主人公は、雑誌記者の高坂さん。この人だけは普通だった!?

嵐の日に出会った稲村慎司くん、サイコパス。そしてその親戚を名乗って彼は偽物だと主張するこれまたサイコパスの織田直也君。

高坂さんの暗い過去、元カノ小夜子。自分の思い描く未来からちょっとでもずれると拒絶反応。婚約して、結婚式の日取りや、来賓まです~っかり決まっていながら、子供を作れないことがわかったらって、破談にする?まぁ、重要な事案であることは理解できるけど、一応恋愛結婚の流れだったよね。。。

高坂の同僚生駒さんは。現実主義者。サイコパスなんているわけない!慎司、にすっかり騙されてるんだ!過去は嘘をつかないから、じっくりそれを調べろ。サイコパスなんてものがホントに存在するなら、禁煙してやる!!(←この言葉がラストしっかり回収されたところが個人的に大好き)

同じく同僚の佳菜子。最初は高坂に思いを寄せるかわいい子だったのが、高坂を訪ねてきた美女七恵に嫉妬して伝言を伝えたがらなくて生駒に叱られてた辺りから怪しかったが、あげく手紙(証拠品)をかくし、さらに、紛失するって!?これぞ、こじらせ女子。お近づきにはなりたくない(+o+)

 

 

高坂が慎二と出会った、嵐の日にマンホールのふたが開いててそこに子供が落ちちゃって・・・っていう事件の解決っていうか、それにまつわる慎司との「サイコパスは本物か事件」と並行して、高坂に謎の手紙が届くって言う二つの事件が進行中。。。

二つの事件、平行型、宮部さんのお得意パターンだわ(笑)

 

謎の手紙事件に、結局慎司と直也がまきこまれて、結局無事(?)に事件は解決するんだけれど。。。小夜子と佳菜子がいなければ、起きなかった事件だよね。まぁ小夜子事件は、しょうがなかったとしても・・・いや、しょうがなくないか。多分別の女がいるって(そこまでいかなくても、なにかしら問題あると)分かり切ってそうな男に、家柄っていうか、地位っていうか、こんな旦那なら素敵な未来が築けるわ(^^)っていかにもな結婚なんかするから、結局殺されそうになっちゃったわけだし、さらにこじらせ女子佳菜子がしゃしゃりでるから、慎司が巻き込まれ、当然のことながら直也が助太刀して彼が命をおとしてしまう。。。被害拡大である。高坂さんの女運悪すぎ!?

 

まぁ、そんなあれこれのおかげで、七恵と出会えて、高坂さんも幸せになれそうな結末だったから。。。よかったのか。。。

 

女子たちの話は置いといて。。。サイコパスだよ。

慎司と直也。そりゃぁ生きづらいでしょうよ。人間関係なんて口に出さないのが理性なわけで、たいていひどい事考えてるわけよ。口に出さないうえで、さらにいろいろ折り合い着けて、人との付き合い、社会生活ができるんだから、それがストレートにわかっちゃったら、人間不信どころか、身動きとれなくなっちゃうよね。

ただ、慎司はある意味生き方を学ぶすべがあったので、きっとこれからもなんとか成長していけるだろう。それとは反対の生き方をしてた直也。彼はとっても優しい人だと思う。高坂とももっとわかりあえる時間があったらよかったのにと残念でならない。

 

誰の心の中にも龍が眠ってる。うまくその龍とつきあいながら生きれればいい。いきなりまとめて、終了!(笑)