我が家にあるのは、たいてい初版なんですよ。日付は2018年3月5日。そして今日は2020年11月15日。お~っと!2年と8か月も寝かしていた!?Σ(゚Д゚|||)
村山佐紀さんの「コンビニたそがれ堂 小鳥の手紙」シリーズ7作目にあたります。
何故そんなに寝かしていたのか。。それには私なりの当時の理由があって、それというのは、本の帯に、2018年本屋大賞ノミネートで話題の「百貨の魔法」番外編も収録!!って文字が躍っているわけですよ。本屋大賞って、単行本じゃない?我が家の本棚の都合があって、基本的に文庫待ちな私。やっぱ、本編「百科の魔法」を読んでからスピンオフを読みたいよな~。そんなことを思ってたんだと思います。。。多分。
今回、刑事ものが続いたので、心柔らかになる本を読みたいと本棚を見たときに、このシリーズが新刊3冊もたまっておりまして。。手に取り・・・え?番外編??やっぱ本編読んでから・・・・と危うく2年8か月前の二の足を踏もうとしている自分に気づき、ダメダメ、これだけ待ってもまだ文庫化してないなら、今がきっと、読むタイミングなのよ・・・と言い聞かせ、ページを開いた次第。。。
余談ですが、2018年の本屋大賞すごい事になってる!?大賞は私が首を長くして文庫待ちしてる「かがみの孤城」2位は、最近文庫化されたんでしょうね、ランキングでものすごいよく目にする「盤上の向日葵」3位は今年の春(?)に映画化された「屍人荘の殺人」さらには、こちらも最近やたらとランキングにお顔を出される浜田マハさんの「たゆたえずとも沈まず」、「AX」と続くわけでして。。。やっぱ、現場の声はすげえ!!と思う訳なのでした。。。
前置きがものすごく長くなりました(^^; 7作目「小鳥の手紙」です。
ラストにある「人の子が魔法を夢見、信じるならば、魔法の側もきっと、人の子を愛し、力を貸してやろうと思うものなのよ。
そんな魔法の世界に迷い込んだ子供たちの3作が収められています。
「雪柳の咲く頃に」
中学2年生の淳君は、初恋の彼女からいいひと。優しいひとと言われ(まぁそういわれなくても実際そんな子なんだけど)、それに負けぬように優しくあろうと、助けてくれと言われまだ水の冷たい川に入り壺から魔人を助け出す。でもその魔人が根性ひねくれてて、助けた自分のことを食べてしまおうとする。慌てて自分の手でふたをして、どうしたものかと考える。もう一度しっかりとふたをして川に流そうかと考えるが、そうすれば自分の次にこの壺を空けてしまった人が、食べられてしまう。。そんなことできないと、冷たい壺を抱えて困っている。。。
「小鳥の手紙」
郵便局に勤める千香ちゃんは、もうすぐ遠くの島にお嫁に行く。島に行くことはとても楽しみなんだけど、今の自分の場所から離れるのもとても寂しい。いろいろ思い出すうちに、小さいころ、隣の家の小鳥の巣箱で死んじゃったお母さんにあてた手紙を書くのだけれども、それに返事が来る。。。手紙はなくなっちゃったけど、あれは、幻だったのか・・・
「百科の魔法の子どもたち」
番外編。星野百貨店に店を出すパティシエの瑛太さんが子供の頃に体験した不思議な体験を思い出す。。。星野百貨店の都市伝説、1階ホールの吹き抜けの天井の、明り取りの窓のステンドグラスに住む、願いを叶える不思議な子猫。息子がその子猫に会いたいと大人に聞くことができずにエレベーターガールに尋ねたという話から、自分もそんなことがあったなぁ。。。と。。。
1作目はなんと!コンビニ店員のねここが出前をする!という、超今風ウーバーイーツの走りじゃん!!とたまげてしまった(笑)たばこやのおじさんとか、助けられなかった子猫とか、優しい子供の周りには優しい「もの」が集うのねと。。
優しいがゆえに悩む淳君に、バッサリあっさり意見を言って、挙句に壺ごとかかえてどこか(といってもたそがれ堂だけど)に向かうねここの男前な姿に微笑みを。。
すっかりと、たそがれ堂モードになった私に今度は、2作目で、亡くなった人から手紙の返事が来るわけないじゃん!?どういうこと??とちょっとしたミステリー的要素が入ってきながら、実はもう一人、大人「綿貫栞子さん」の存在が。。。千香ちゃんと、そして綿貫さん、二人がたそがれ堂で、不思議(?)体験。というのも新しい。。
星野百貨店、本屋さん、作者の他の作品とたくさんリンクします。たそがれ堂が、脇役ですから!!でも小さな瑛太君が塾の先生「えのじい」への思いと、けんかを後悔するお友達の想君の思い。それぞれの優しががキラキラとまぶしいくらい。そして小さい瑛太君と大人になった瑛太君のたそがれ堂での体験が、脇役ながら、やっぱり大きいな。
作者あとがきでこれまたぐっとくる言葉ある。
悲しいとき辛いとき、がんばっているときーー。きっと同じだけ、幸せなことがあると。
さらに続く言葉は、もう憧れである。
おとなになった今では、嫌なことがあるたびに、うれしくなることさえあります。「よっしゃ、いいことがあるぞ」なんて、心の中を握りこぶしを作ったりして。
そんな作者だから、悲しい中に、優しさがあふれる物語がかけるのだな。その力を借りて、すさんだ心に、ぬくもりをおすそ分けしてもらえる、本ってやっぱり素晴らしい。
シリーズ1話から読み直して、記事に起こしていきながら、あれ、この人!!っていうのを整理したい気持ちが大きいけど、今回はとにかく、先に進もう。。。