makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

事続「あんじゅう」より第二話「藪から千本」

宮部みゆきさんの三島屋変調物語事続(第2巻) あんじゅう より

第二話 藪から千本

 

おちかが、かの「凶宅」でお近づきになった越後屋のおたか、清太郎とともに

梅見に出掛けた先で、三島屋の隣家住吉屋の娘、梅の慶事を聞く。

 

その後の準備などで、不思議な行動をとる住吉屋のしきたりを不思議に思うおちかに

お民のすすめで語りを決めた住吉屋のお路から、その闇を、黒白の間で聞くことに。

住吉屋の兄弟二人とその各々の嫁、姑、兄夫婦が生んだ双子の梅と花をめぐるお話を。

一見、姑が死んだ後も、嫁、そして孫を恨む話かと思いきや。。。

実際に怖いのは生きた人間。

商売を継ぐ兄と弟の思い。それぞれの嫁の思い。

さらには、血の親子、育ての親子の思い。姉を亡くした妹の思い。。。

嫉妬うずまく人間のいろんな感情が、亡霊とか、針だとかに現れた。

誰の目にも明らかだった嫁と姑のいさかいは、目に見えてたからわかりやすかった。

言ってはならないと取り繕おうとして、そしてそれを真実だと思おうとしてのひずみ。

闇だわね。ある程度、自分の心を開放するってことも、大切なんだと思うわけです。

 

そして、その住吉屋が世話になった、疱瘡神に魅入られたあばた顔のお勝さん。

彼女の事が気になったおちかは、お路の話の後に、お勝を呼び寄せ、話し合い

そして、三島屋に来てほしいと願い、百物語の守り神(?)お勝さん、誕生となる。

神様により愛されたから、あばたと共に力を得、災いを祓うと言われる人。

なるほど、その考え方はとても素敵だ。

SNSが発達して事実ばっかりつきつけられる現代だけどそういうのにもすがりたい。

あぁ、だから、私は時代物が好きなのか??(ん?わけわからん???)

 

 

この百物語シリーズは、三島屋の日常の物語と、語り手のかわり物語が

同時に進行していき、現実と、架空(?)がリンクする感が、これまた面白い。

 

前話で平太が加わり、そして去り、淋しくなった三島屋に人を入れようという際に

息子二人が留守の間に奉公人を増やすのは。。。と伊兵衛の息子兄弟の話を入れた後に

変わり物語も兄弟のお家事情の話が入ってくる。。

そして、その変わり物語の中の人物が結局、三島屋の女中としてやってくる。

 

人と人の「縁」って実はこういうものなのよねと感じいってしまうわけである(笑)

 

で、この藪から千本の話では、生き残った双子の娘「梅」ちゃんのお話だけど

前作の「商人」風に考えると、かわいそうなのは、死んじゃった「花」ちゃんだ。

本来、本家のお嬢さんで、一番幸せになれるはずなのに、死んだ上に、亡霊にされ

あげくに人形にされちゃう!!(^^;

でもラスト、お民さんは鳥肌ものだったけど、彼女も喜んでいると信じよう!!

姑のばあさんも、こっぴどい言われようだけど、穏やかに成仏できるといいな(笑)