makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

女主人公と女刑事が気の毒すぎる「クロスファイア」

宮部みゆきさん初期作品再読シリーズは、やっと第10弾に!(第1弾をあかんべえじゃなく、ソロモンの偽証から数えることに、変更!w)

この本は、昔図書館本だって、その後古本屋で購入したものが現在我が家にあるのだけれど、上巻は、この表紙だけど、下巻はちょうど劇場公開されたころのものらしく、矢田亜希子さんなんですよね~。裏表紙には彼女の談話があるという。。。

映画、存在自体知らなかったけど、瞬時に燃え上がる人。なんて、当時の映像技術を考慮したりすると。。。あんま、見たくないかな(^^;

 

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余談はさておきであるが、了読後、感じたのは二人の女主人公の気の毒さである。

一人は真の(?)主人公、青木淳子、そしてもう一人は、彼女を追う女刑事、石津ちか子である。

淳子は、パイロキネシスという困った能力を持ってしまったため、人との付き合いを避け、そして、自分が正義なのか、でもその巻添えで殺してしまった人たちに対して正当化でききれず悩んだ末に、よくわからない組織に目を付けられ、挙句、結婚詐欺まがいの、心を許した男に殺されるという。。。まぁ、道づれに彼も連れてった淳子の愛は報われたともいえるのか!?

木戸浩一。その男は、悪の組織(?)のなかでも、淳子と同類で、もしやホントに淳子を幸せにしてくれるかもしれないと、淳子のみならず、私も思った。。。なのに。。

同じく悪の組織(カーディアン)の伊崎“船長”は、殺人(報復?法律では罰せられない物への処罰?)に付属するもろもろに心折れて、まぁまだ人間だった。まぁ、そもそも彼は異能者でもなかったわけだが。。。

そして、もう一人石津に至っては、一緒に異常な放火犯(?)を追っていると思っていた直属の上司、さらにそこから紹介を受けた現場責任者(?)、彼からまた同じく同志(?)と思われる刑事を紹介され、事件の真相、淳子に迫るも、その二人は実はその悪の組織(!)に携わる(事件をもみ消す!?)警察関係者だったという結末!!

そりゃないよぉ・・・(;´∀`)じゃない??

さらに石津さんにとって、さらなる恩師的な人が、前に出てきた伊崎“船長”であることも。。。

 

衣笠巡査部長が、青木淳子はもとより、ガーディアンに罰せられる犯罪者も同じく「異能者である」と石津に説く場面。思わず私は納得しそうになったけど。。。淳子やかおりちゃん、(昔の)浩一には、心がある。こんなことしたくないのに。。巻き添えにしちゃった人たちに対する後悔とか。。その後大人になるにつれ付き合い方を覚え、浩一のように心を閉ざすパターンもある。そう、「他人の生殺与奪を握ることを覚えてしまうと、たとえその殺戮の目的が何であったにしろ、人は自分勝手な生き物へと成り下がるのだ。」という言葉に続くのは確かだけれど。。。 だけど犯罪者たちは違うよね。うん、絶対に違う。だからお願い、一緒になんてしないで! そこが衣笠と石津の現在の立ち位置の大きな違いなんだね。私も、できれば、石津の立場でいたいなぁと思うのである。

 

主人公の女性二人が気の毒であったけど、ラスト。伸江の登場がじんわりときた。淳子のことをちゃんと心配し、彼女氏の死を残念がってくれる伸江。そして、「妹?」とかおりを見るところは、最初のページを振り返って、ほんとになんだかじんわりである。

 

倉田かおり。淳子が彼女と(ガーディアンを介せずに)会うことができていたならば、淳子も幸せだったんじゃないかな。

 

そして牧原。淳子に最後に名を告げなかった牧原。数少ない、いい人だったなぁ。。。

つらい過去をのりこえて、牧原とかおりが、幸せに、生きてくれればいいなと思うのである。