みやべみゆきさんの昔の本を読み返そうシリーズ。時代物は一旦終了。現代推理もの(?)の「魔術はささやく」であす。
職業作家としてのデビュー作、日本推理サスペンス大賞を受賞している。
この記事を書くにあたって、あらためてググったんだけど、私はこの作品がオール讀物推理小説新人賞を受賞したデビュー作だと思い込んでいた。とんだカン違い(^^;
ちなみに「我らが隣人の犯罪」は警察犬「マサ」の物語だと思い、いやいやそれは「パーフェクトブルー」だし。。。と一人つっこみ。
このへんは図書館本が多いのよね。で、働き出してちょっとお金ができてきたころにブックオフ買い!「レベル7」が100円なのに、この本は250円。分厚さにも人気にも呼応してないんじゃない??なんておもいつつ。。。
読み始めても、読み進めても、まったく記憶になかった(^^;
あぁ、昔、宮部さんって、社会はミステリー作家って呼ばれてたっけ?って。。
デート商法に始まり、加害者家族への差別、苦悩。サブミナル広告できをもたせといたら、本物の超能力者(催眠術師?)がでてくる!そしてついには冤罪(?)かよ!てんこもりである(笑)
ただね、実にうまく読ませるのよ。え?どうなの??これって、あれじゃね?ところで君は誰?やっぱそうじゃん。え???そうなの!!
主人公守の強さがとてもうらやましい。
父は横領をして、母子を残して失踪。つらい少年時代を過ごしながらも、親戚の家で平穏に暮らしていた最中タクシードライバーの叔父が事故を起こし相手の女性は死んでしまう。一度ならず二度も加害者の家族の苦しさを知る。
事故の真相を探る中、怪しげに「坊や」って呼びかけて悪に誘う声。自身の不幸を顧みず手を差し伸べてくれる男。もしや父かと思ったその男は。。。
私は単純で、作者のミスリードに間違いなく乗っかる「良い」(?)読者なので、守ると同じく善良な男吉武を父と思っていた。けど実際にはそうでなくて・・・時たま挟み込まれていた誰の目線かわからない情景が、彼の目線で、父でもありうるが、よくよく思い返せば、そうなるわ。。。って。。。
死に追いやられた女たちや、守を含めた加害者家族を追い詰める人々。復讐。結構な「悪」が遜色なく書かれているんだけれど、そんななか、ブレない人も多い。友人のあねごにバイト先の高野。鍵師のじいちゃんや、母、叔母も強い人だ。
守がいじめっこに「俺は人殺しの息子なんだ。遺伝を信じるんだろう?泥棒の子は泥棒。そうなんだ、そういうもんあんだよ。遺伝はあるんだ。」って脅す場面がとても印象的だったんだけど、確かに遺伝はあるんだ。負だけじゃない正しさの遺伝。なんだかんだ言っても、周りの人の影響を受けるのが人。
全ての真実を手に入れた守のラストがかっこいい。この本の表紙のように暗闇にともる小さな光のように、心の闇をを照らされた気分。