「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」の中の人たち!
2021年度の本屋大賞は、町田そのこさんの「52ヘルツのクジラたち」。すこぶると評判が良いので、私も早く読みたいのだが、我が家の床を圧迫するため単行本は、大好きな二大巨頭の宮部みゆきさんと東野圭吾さんしか買わないと決めている。そのために、文庫化された商品はないかな~。。。。と調べると、デビュー作で、しかもこちらも抜群に評判が良い本作を発見。短編集かぁ・・・・まぁ、でもおためしだから・・・なんて安易に手に取ったら、なかなかの衝撃で、とりあえず、まとめ記事を作らねば!!なんて久々に重い腰を上げねばならぬという事態に(笑)
町田そのこさん、「夜空に泳ぐチョコレートグラミー」である。
カメルーンの青い魚
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
波間に浮かぶイエロー
溺れるスイミー
海になる
以上5編からなる、短編小説。(改めて背表紙の紹介を見ると、「連作」短編集とかいてあった!!)
人生に、ちょびっと挫折し、生きにくいな~って感じてる主人公たちが、それでも周りの人たちと関わり合いを続けながら、強く前へと進んでいく物語。
「私なんて、とっても恵まれていて、幸せなのに、こんなにだらだらと生きてちゃぁ、駄目なんじゃない??彼らに負けないように、頑張らねばねぇ・・・」と思わずにいられない、元気が出る読後感を得られました(^^)
で、5つのお話には、5人の主人公が出てくるんだけどね。。。主人公が変わっても、次々に聞いたことある名前が出てくる( *´艸`)っていうのがこのお話の醍醐味でもあると思う訳。。。その辺をうまくいくかどうかわからないけど、まとめてみる
カメルーンの青い魚。
さっちゃんと啓太とりゅうちゃん
みたらし団子にかじりついて折れた(とれた?)前歯からさっちゃんと元カレ(?)りゅうちゃんの話に。。。啓太の正体がはっきりと描かれていなくて、元カレりゅうちゃんが思った通り、啓太は今彼だと思ってたら。。。。1話目は普通にその展開に引き込まれた私
夜空に泳ぐチョコレートグラミー
啓太と春子
さっちゃんとケンカして、新聞配達のバイトに精を出す啓太が「ふ化した」春子の家を訪ねて、水槽をのぞく。。。「うん。一応、俺も飼ってるし」その会話に、あれ?啓太って!!!って気付く(・・・気付くの遅い!!って言われれば身もふたもないけど。。。)
いつも守ってくれたおばあちゃんが痴呆で施設に入った春子は自分の足で生きて行かなきゃと決意。おばさんの家に引っ越していくのを、ちゃんと母と話せた啓太がそっと見送るラストがいい
波間に浮かぶイエロー
芙美、沙世、環
「おんこ」の芙美さんのお店で働く、彼が電車に飛び込んで死んじゃった沙世の基に芙美さんの元同僚、身重なのに旦那に浮気された環が、昔した約束を頼りにやってくる。
1話では金魚、2話では熱帯魚のチョコレートグラミー、そしてこの3話では「おんこ」の語源(?)ハナヒゲウツボがでてきて、海の生き物たちがなんだかふわふわと不思議な雰囲気で、物語を盛り上げている。。。
芙美の店のお客できっと、友人でもある立場で登場する幸喜子さん。これが、なんと1話、2話に登場する「さっちゃん」で、ここでは幼いさっちゃんでもなく、母親のさっちゃんでもない、ひとりの普通の(?)大人の幸喜子として登場するさまがなんかとっても不思議な感じ。で、それがまたなんか、いい
溺れるスイミー
唯子と宇崎くん
ひとつのところにとどまれない唯子が工事現場のダンプの運転手の宇崎くんと出会う。
同じところにとどまれなくていなくなった父。それと同じ血を引く唯子。それでも父の様にはならないと葛藤を続ける唯子。心配する母。そして宇崎くん。
宇崎君はなんと!!さっちゃんの前歯の折れた原因。りゅうちゃんがケンカをしてたたき殺しそうになった相手の男だった!!!この繋がりは、衝撃過ぎた!!(笑)
海になる
桜子、長髪の男(清音)
子供を産めなかった桜子は旦那にものすごいDVを受けている。だから死のうと思ったらその男に会うといつもろくなことがない長髪の男、清音と出会う。
結局、彼女は殺すことも死ぬこともせず、清音と幸せに生き抜いて、今日、親戚の娘を家に迎え入れる。。。
読み終わって、あぁ~よかったぁ。。。なんて思いながらも「あれ?ここには誰も出てこなかった??」なんて思いながら、あとがきを読み進めるうちに気付いた!!
親戚の娘、春子。それは2話で、親戚の家に行く事になったといってた春子だと!!
2話で桜子さんの紹介(?)もされていたというのに、気付かなかったよ!!やられたねぇ。。。
見落としなく、ちゃんとできてるかな!?(^^;
ホントは、も一度頭からじっくり読みたいんだけれど、昔と違って、今はあえて、すぐには読み返さないようにしてる(というのは、先を急ぐ言い訳に過ぎない気がしないでもないけど。。。)
だから、物語の本筋とはずいぶんと離れてるけど、そこに気付いた自分にニマニマしてる記憶だけ、形に残しておいた。
もちろん、あとがきでも書かれてるように、この本の各章書き出しの1文が、これまたかなり衝撃的。
他の町田さんのの本にも、手を広げちゃうわねぇ。。。だってこれ、デビュー作。好きになっちゃたわ(*'▽')