makiのきまぐれ読書日記

読んだ本を忘れないように。。。

伍之続「あやかし草紙」より第三話「面の家」

宮部みゆきさんの三島屋変調百物語伍之続(第5巻)あやかし草紙より

第三話 面の家

 

「箱に入れて、紐をかけて、雨戸を締め切った奥の座敷に、数えきれないほどたくさん積み上げてあった」という「お面」の話。そしてその「お面」は世間に出したら悪い事をする、あるいは悪い事を招き寄せる。。。「番犬」と呼ばれる人間だけがその「お面」が逃げ出そうとと騒ぐのを聞くことができる。「番犬」は手癖が悪いもの、性根が曲がったもの(過去に犯罪を犯したことがあるもの)が「その方がお面を見つけやすい」からという理由で雇われる。しかしながらその「お面」は「番犬」をだまして逃げようとする。戦いである。

「番犬」として雇われたお種ちゃんの物語。

かつて、人のものを盗み、そしてうそつき。三島屋のみんなにはきらわれわれるけど物語を語り終わった後、三島屋の守り人お勝さんから魔よけとして櫛をもらう。。

 

個人的に、あんまり、好きじゃないこのお話。もともと、変わり百物語というのだから楽しいわけがあるはずもないのだけれども、この話はとことん救いがないからかしら?

悪いものを封じるためと言っても、人を「番犬」扱いすることもなんか偉い人が偉そうに。。。って思うし、「番犬」にされたお種ちゃんも、なんだか根っからのスレた女の子でかわいげがない。いわゆる、いじめられっ子にもそうなる理由があるという感じ・・・と言ったら、語弊があるか。。。

そもそも、そのお種ちゃんも、周りの大人がもっとちゃんとしてたら、悪い事は悪いって教えてあげられる人がいたら、良いのだ。。という話だけど、とにかくそれがあまりにも現実的で、理想を言うのは簡単だけど、本来世の中なんてこんなもんだって感じ?

 

まぁ、富次郎が、結構厚い綴じものを手に、様々な出来事を読み上げてこれは面が起こした事件かと問い合う、そういう、これまた少しズレたところが、これから変わり百物語の行く末が、ちょっと変わっていくのかなぁという・・・。

 

富次郎が書いた絵は、お勝がお種に手渡した「櫛」。さてこの絵の行方が。。。